なぜ、KENTAは高橋ヒロムを丸め込みで倒したのか?
“go 2 sleep”でも“GAME OVER”でもない。敢えてのスクールボーイで勝利。それは石井智宏選手を破った形と全く同じ流れだった。
戦前から高橋ヒロム選手は対ヘビー級路線を掲げた先輩であるKENTA選手へ何かを求めていた。
ヘビーとジュニアの境界線が曖昧になった今から、あなたが考えるヘビーとジュニアの違いとは何ですか?と。
そんな迷える子羊に対して、かつて“Black Sun”と呼ばれた男は今の自分を貫くことで、その質問に答えた。
昔の俺にも誇りを持っているし、今の俺にも誇りを持っている、と。
試合を見てみるとVSジュニアだからといった動きは特になく、いつも通り“KENTA2021”で高橋ヒロム選手を打撃と技術で圧倒した上で倒した。
見ているこっちがこりゃ勝てねぇなぁ…と思う試合内容だ。
高橋ヒロム選手は相当悔しかったに違いない。
実際、“ジュニアのKENTA”を引き出そうとしていたシーンもあった。
真正面から蹴りも張り手も受ける。
ジュニアのサイズでヘビー級で戦っている男の攻撃を真っ向から受ける機会はなかなかない。
ヘビー級で戦うとは何か。その意味を知るために痛みを求めていた。
そんな高橋ヒロム選手に対して、「こんな負け方かよ…」と思わせるような丸め込み勝利。
“go 2 sleep”でも“GAME OVER”でもない。
とことん悔しさが募る敗北。
その裏側には「また遊んでやるよ」って気持ちと「今のKENTAを見せつける」意味があったように思う。