なぜ、SANADAはEVILに熱くなったのか。
かつての相棒に対する不甲斐なさなのか。それとも、不器用な檄なのか。
コールドスカルの胸中には一体どんな気持ちが浮かんでいたのだろう。
改めて問題のシーンを見てみると、SANADA選手はあくまでも冷静にキレている印象を受ける。
破茶滅茶に何でもやる“制御不能”というよりも、己の感情をコントロールして爆発させたような。そんな様にも受け取れた(ヤングライオンを吹っ飛ばした辺りは流石に熱くなりすぎていたような気もするが)。
SANADA選手が動いたのは試合中盤(終盤)。EVIL選手とディック東郷選手に場外で痛ぶられた直後である。
つまり、ずっと溜まっていたフラストレーションがあの瞬間に爆発したと見ていいはずだ。
フラストレーションの正体は一つじゃない。自分の感情を一つのタグなんかじゃ表現できる訳がない。
ただ、こうも思う。EVIL選手に対するファンの感情をSANADA選手がぶつけてくれのではないか、と。
“ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン”を離脱したこと自体は帳消しとはいかないまでも受け入れている。ただ、その後についてはちょっと納得できないことも多い。
僕が思っているのは、ディック東郷選手と組んでズルい戦い方をしていることではない。
あれだけの勢いを持った2020年上半期から失速した点にある。
なんとSANADAがEVILにブチキレて、鉄拳制裁!
— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) 2020年12月11日
“あの後”、バックステージではどうなった…?
※12.11日本武道館大会の結果は
⇒https://t.co/e6WiZ1woqe#njbosj #njwtl pic.twitter.com/bhNVWx9tz7
二冠王にまで輝いた男
「ニュージャパンカップ2020」の覇者として、内藤哲也選手に対峙した2020年7月12日 大阪・大阪城ホール 第7試合 IWGPヘビー級・IWGPインターコンチネンタル ダブル選手権試合。
“バレットクラブ”に加入し、入場曲を変え、結んでいた髪を解き、アイメイクが取れたあの日。
半端じゃない量の方が2020年は“キング・オブ・ダークネス”EVIL選手の年になるのだと期待していたはずだ。
“ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン”のリーダー内藤哲也選手が完全にベビーフェイス化したことでユニットも方向転換。
制御不能っぷりはほぼ影に隠れ、本来であればパワーとダーティーファイトの両輪で強さを誇っていたEVIL選手にある種の制約ができてしまった。
僕は度々書いていたが、EVIL選手の強さが際立っていたのは凱旋帰国当初である。特に後藤洋央紀選手との一戦だ。
パワーと機動力、場外でのラフファイトまで“闇の王”に取り憑かれていたこともあり、荒武者を圧倒していた。
ただ、その後はと言えば...。御存知の通り、内藤哲也選手から「ヘビー級4番手」という烙印すら押されるようになってしまったのである。
ユニットの中で自分だけが“制御不能”で居続けるわけにはいかない。その板挟みの中で、悩み苦しんでいた。
完璧なまでの強さを手に入れたEVIL選手はこれから新日本プロレスの柱の1人になる。誰しもがそう思っていたはずだった。
上にいってほしかった。
EVIL選手のフラストレーションが爆発したのは2020年の春(夏)。内藤哲也選手から「二冠王」を強奪し、“ダークネスな新時代”の幕開けを予感させた。
ただ、ジュニアの高橋ヒロム選手に一度防衛しただけで、「二冠王」の座から崩れ落ちると「G1クライマックス30」ではリーグ戦敗退。
それではと臨んだ「ワールドタッグリーグ2020」でも3勝6敗と不甲斐ない結果に終わってしまう。ちなみにEVIL選手は2017、2018年に「ワールドタッグリーグ」制覇。2019は優勝決定戦進出と、新日本プロレスを代表するタッグの実力者だったはず。
そんな彼が負け越したのだ。しかも、実質ディック東郷選手を加わった3対1という状況の中で。
一方でSANADA選手。TKGこと鷹木信悟選手とのタッグでも話題を作り、優勝決定戦まであと一歩というところまで来ていた。
SANADA選手は元タッグパートナーに不甲斐なさを感じていたのではないか?僕はそう推測している。
【12.11武道館大会・第3試合後】
— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) 2020年12月11日
SANADAがキレた!無法ファイトのEVILに鉄拳制裁!
両者、バチバチの場外乱闘へ……!
★試合の詳細は新日本プロレス・スマホサイトで速報中!https://t.co/79YDgBRlGJ#njbosj #njwtl pic.twitter.com/ilQPq2ybt8
東京ドームへの道
「何が何でも勝つ」
EVIL選手はこの言葉だけを頼りに王座まで上り詰めた。ただ、今を見るのであれば、明らかに失速してしまっている。
東京ドームの対戦カードが12月になっても決まっていない側になっているとはあの時、想像もできなかった。
対角線に立つ“もう1人のライバル”への不甲斐なさ。本気で向かってくるべき相手に自分がなってやる。そんな気持ちがあのナックルに詰まっていたような気がする。
“ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン”のメンバーと2021年の東京ドームを考えてみよう。
内藤哲也選手は飯伏幸太(本隊)選手。鷹木信悟選手はジェフ・コブ選手(ジ・エンパイア)。高橋ヒロム選手はスーパージェイカップの覇者。
そして、SANNDA選手はEVIL選手(バレットクラブ)と、全員バラバラなユニットとの試合が待ち構えている。
これからの前哨戦は一体どうなるのか。様々な憶測が飛び交う中、新日本プロレスの2020年ラストマッチがいよいよ迫ってきた。
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